内科

猫が口を開けて呼吸する | 肥大型心筋症

「猫は小さな犬ではない」大学時代に教授から教えられた事です。

その当時は「そりゃそうだよな」くらいにしか思っていなかったのですが、

今は痛感します。

 

犬と猫を診察しているとやはり全く別物です。

病気も違えば、お薬の量や種類、診察の仕方、触診の仕方まで違います。

 

そんな別の生き物ですから、わんちゃんでは正常でも猫ちゃんでは異常な事があります。

例えば「口を開けて呼吸する」です。

この事は全く別の意味があります。

 

わんちゃんでは、嬉しいときや暑いときに口を開けてハアハアします。

これは全く正常です。

しかし…猫ちゃんが口をあけてハアハアしているのは異常です。

もっと言えば緊急事態かも知れません。

おそらく多くの方が見た事がないのではないでしょうか。

今回は口を開けて呼吸数する猫ちゃんのお話です。

 

この子は若い男の子の雑種です。

ワクチン接種に来たのですが、普段の様子をお伺いすると

『うちの子は嬉しいと口を開けて犬みたいに喜ぶ』

との事です。

 

一見すると可愛い話です。

でも猫ちゃんで口を開けて呼吸する事(開口呼吸)はおかしいのです。

 

原因は心臓が悪いか、呼吸状態が悪い事がほとんどです。

以前ブログで書いた子は猫ぜんそくで開口呼吸していました。

猫が咳をして苦しそうです|猫ぜんそく

 

ではこの子はと言うと…

身体検査をしていくと、呼吸音は正常です。

しかし心臓に雑音があります。

心臓に奇形や心筋症がありそうです。

 

ワクチン接種にきたのですが、その旨をお話し今日は心臓の検査となりました。

 

胸のレントゲンを撮って見ると…

心臓が普通のねこちゃんより大きくなっています。

(心臓はわるくなると大きくなる事が多いです)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

肺にお水がたまったりは無さそうです。

 

次に心臓の中を見ていきます。

エコー検査をすると心臓の動きや血液の流れが見えます。

 

心臓の筋肉がかなり厚くなっています。

エコーでは血液の流れに色を付けられます。

画面の中央から、赤や緑の混ざった血液が吹いています。

これは分厚くなった筋肉が、心臓の出口を塞いでいる状態です。

 

肥大型心筋症です。

 

猫ちゃんで心臓の筋肉が分厚くなっていく病気です。

 

心臓の筋肉が分厚くなるといい気がしますが、問題があります。

心臓の内腔が狭くなって、血液が入る場所がなくなってしまうのです。

そして、心臓の出口の大動脈のところも塞いでしまいます。

また血液がうまく流れず血栓を起しやすくなります。

 

メインクーンやアメショなどでは遺伝子の異常で起こることがわかっています。

雑種でもおこります。

 

この子は幸いにも血栓の傾向はなかったのですが、油断はできません。

できるだけ心臓の内腔を広げるため、心拍数を落としたりする治療を始めました。

 

治療を初めて1年以上、お薬で経過をみていますが、元気に過ごせています。

治る病気ではないけれでもうまくお付き合いできるといいですね。

 

今回のように何気ない話から見つかる病気もあります。

飼い主さんとお話する事は重要だと思ったお話でした。

 

そんなこんなでお話していると診察時間が長くなるのですが…すいません。

これからもよろしくお願いします。

 

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