内科

検査しても異常がない?そんな病気|免疫介在性関節炎

わんちゃん、ねこちゃんが「なんとなく元気がない」、「ごはんの食べがわるい」

そんなの症状で病院にかかる事も多いと思います。

診察してみて、重大な問題が隠れていると思えば、詳しい検査に進んでいきます。

ほとんどの場合は検査で診断がつきます。

 

しかし、獣医師泣かせの病気が存在します。

 

レントゲンも正常

エコーも正常

尿検査も正常

血液検査も正常

ただ熱っぽかったり、炎症蛋白(CRP)だけ高い。

 

うん…これは困った

なんの病気なのか診断がつかないというケースに遭遇します。

 

今回の子は、1ヶ月前から元気がなく、他院で検査しても異常がないので

「風邪でしょう」と言われていた子です。

「なかなか治らないから見て欲しい」とセカンドオピニオンでいらっしゃった、チワワです。

 

一通りお話をうかがった後、持って来て頂いた以前の検査データを確認しました。

確かに血液検査では、肝臓も腎臓も白血球数も異常ありませんでした。

ただ一つだけ異常値がCRP(炎症蛋白)です。

CRPは体のどこかに「炎症」がある事を示しています。

どこに、どんな炎症があるかは教えてくれないので、探していかなければいけません。

 

血液検査で不足している項目や、レントゲン、エコー、尿検査を確認していきます。

肺から心臓からお腹の中まで炎症を起しそうな場所はどこにもありません。

咳や肺炎等もありませんでした。

 

 

 

わんちゃんでは、免疫の異常で関節炎が起こり、食欲が落ちたり元気がなかったりします。

しかも厄介な事に、跛行(びっこ)などの関節の症状がでない事が多く、気づかれにくいです。

この子も免疫介在性の関節炎を疑って関節液を抜く事にしました。

 

膝と手首の関節から関節液を抜いていきます。

関節液は清潔に抜くために少し毛を刈ります。

検査の痛みは採血程度で、麻酔等は通常必要ありません。

膝からの関節液採取

膝からの関節液採取

手首からの関節液採取

手首からの関節液採取

 

 

 

 

 

 

 

関節液は、関節を滑らかにするためにヒアルロン酸が含まれています。

正常な関節は、ヒアルロン酸でトロっとしています。

 

この子の関節液はというと

「白く濁ってサラサラ」です。

どうやら関節に炎症がありそうです。

顕微鏡で関節液を見てみると

関節液

関節液

 

 

 

 

 

 

 

紫色に染まる炎症細胞がたくさん出ています。

細菌感染もなく、培養検査でも菌はいませんでした。

 

原因は免疫介在性の関節炎でした。

自分の免疫が自分の関節を攻撃してしまう病気です。

自然には治らないので、お薬で免疫を抑えてあげる必要があります。

 

この子はプレドニゾロンの内服で1週間で元通りの元気に戻りました。

免疫の病気は治療に時間がかかります。

ゆっくりお薬を減らしていって経過をみる予定です。

 

何はともあれ、診断が大変な獣医師泣かせの病気の診断がついて一件落着です。

原因がわからない食欲不振などはご相談ください。

 

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岐阜市柳津町丸野4−17−1  はづき動物病院

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