腫瘍(がん)

まだまだ諦めない!肥満細胞腫の治療

先日お休みを頂き、大阪で開催された『獣医がん学会』に出席してきました。

昨年も大阪で開催されました。

大阪と言えば、道頓堀、大阪城、通天閣、USJなど面白そうなところが満載です。

 

しかし、今年も観光名所はスルーです…
唯一の観光といえば、数秒だけ見切れた大阪城です。

たぶん大阪城です。

初寿司の店舗ではないと思います。(岐阜の人以外は分かりにくくてすいません)

 

さて、一応「観光」も済ませたという事で、学会に行って参ります。

今回のテーマは『肥満細胞腫』でした。

肥満細胞腫とはなんだ!?と言う方はこちらを⇩

犬の肥満細胞腫

 

簡単にいえば、アレルギーなんかに出てくる細胞が、腫瘍化した悪性腫瘍です。

わんちゃん、猫ちゃんに非常に多いです。

そして厄介です。

 

何がやっかいかと言うと、悪性度が高いものは転移するし、

手術も大掛かりになりがちです。

二人とも肥満細胞腫で、大掛かりな手術になった子です↓

犬の肥満細胞腫の断脚手術、お腹の手術

肥満細胞腫の治療は日進月歩

肥満細胞腫は研究が進みやすい分野です。

ここ5年くらいで大きく治療が変化しました。

 

手術や、放射線療法にも進歩がありますが、

最も進歩が大きいのは化学療法、いわゆる抗癌剤です。

 

抗癌剤というと人で髪の毛が抜けたりするタイプの抗癌剤がイメージされます。

もちろんそのタイプの抗癌剤も使われますし、重要です。

ただ、流れが変わってきています。

今の研究の多くに「分子標的薬(パラディア)」が使われています。

 

分子標的薬(パラディア)って?

聞き慣れない言葉ですが、分子標的薬というお薬があります。

今までの抗癌剤が、ターゲットは分裂する細胞全部です。

腫瘍細胞は分裂するのでよく効きます。

ただし他の骨髄や消化管も分裂が盛んですので、そちらにも効きます。

 

これが副作用として出ます。

人ほどの副作用は出ない事が多いですが、気をつけなければいけません。

 

分子標的薬は、肥満細胞腫の特定の部位をターゲットにします。

そういわれると分かりにくいですね。

イメージは、肥満細胞腫に書いてある名札のようなものです。

そこを狙って攻撃します。

ですので、従来の抗癌剤とは全く別物で、

強い副作用が少ない事が特徴です。

もちろん、副作用がでない訳ではないので使い方には注意が必要です。

 

分子標的薬(パラディア)の問題点

話をきいていると、肥満細胞腫にかかってしまった子には、夢のような薬です。

 

しかし、今まで当院での登場頻度が少なめでした。

それは、「効くか効かないかの検査(c-kit遺伝子変異検査)」で

『効かない』とでる事が多かったからです。

 

効かない可能性が高いといわれれば、別の治療を優先します。

 

しかしここ1−2年の研究で、「効く」とでた子は効く可能性が高いが、

「効かない」とでた子が結構な割合で効くという事です。

以前から、いわれてはいましたが、実際にデータをみると、衝撃的な内容です。

 

もっと分子標的薬(パラディア)は肥満細胞腫を救えるはず

これで肥満細胞腫に苦しむ子の治療がまた進んだと思うと、非常にうれしく思います。

新しい知識は常に必要です。

肥満細胞腫で苦しむ子を助けるにはそれしかないのです。

 

肥満細胞腫の治療に困ったら早めにご相談くださいね。

 

 

追伸

大阪の串カツは、ソース二度つけ禁止でした。

 

 

 はづき動物病院 腫瘍(がん)治療についてはこちら

 

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